素数がそれ以上分解できないのと同じように、式の中にも因数分解できないものがある。しかし、因数分解できる式であっても、展開された形から元の掛け算の形を想像するのはなかなかに難しいものだ。基本は、式の特徴をうまく捉え、パターンにはめて考えること。簡単なものから順に練習していこう。

共通因数でくくる

最初に捉えたい式の特徴は、

すべての項に同じ因数が入っていないか?

ということだ。

例えば、\(x^2+3x\) という式を考えてみよう。

(1) 式を項に分ける $$x^2\ \vdots\ +3x$$
(2) 項を因数に分ける $$x \times x\ \vdots\ +3 \times x$$
(3) すべての項に共通する因数はないか? $${\color{red}x} \times x\ \vdots\ +3 \times {\color{red}x}$$
あればそれは、「\({\color{red}a}(b+c)={\color{red}a}b+{\color{red}a}c\)」という分配法則が使われた結果だと考えられるので、もとの掛け算に戻すには、
(4) 共通因数をカッコの外に配置する $${\color{red}x}(\hspace 2em\ \vdots\ \hspace 2em)$$
(5) \({\color{red}x}\) を分配すると\(x^2+3x\) ができるように括弧の中を補う \({\color{red}x}(\) \(x\) \(\vdots\) \(+3\) \()\)
(6) 因数分解完成! \(x(\) \(x+3\) \()\)

これで元の \(x^2+3x\) という式を 因数×因数 という形に直すことができた。

例1 もうひとつ例を見てみよう。今度は \(6x^2+3x\) を因数分解してみる。

(1) 式を項に分ける $$6x^2\ \vdots\ +3x$$
(2) 項を因数に分ける $$6\times x\times x\ \vdots\ +3 \times x$$
(3) 共通因数でくくって $$x(\hspace 2em \vdots \hspace 2em )$$
(4) 因数分解完成 $$x(6x\ \vdots\ +3)$$
と行きたいところなのだが、1つ注意。カッコの中の \(6x+3\) に共通因数は残っていないだろうか。そう、6も3も3の倍数なので、3という共通因数があるのだ。
(5) 共通因数の \({\color{red}3}\) がまだ残っている $$x\times({\color{red}3}\times 2 \times x\ \vdots\ +{\color{red}3}\times 1)$$
(6) \(3\) もくくり出そう $$x\times {\color{red}3}(\hspace 2em \vdots \hspace 2em)$$
(7) これで因数分解完成 \(3x(\) \(2x+1\) \()\)

因数分解には、「それ以上因数分解できなくなるまで続けること」、という約束がある。数の中に潜む共通因数は見落としがちなので、因数分解をするときには気を付けよう。常にカッコの中に気を配り、「もう因数分解できないかな?」と確かめることが大切だ。

項の数が増えても…… →